2006年11月27日

「アマチュアリズム」ってそもそも必要なの?(2)

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*アマチュアリズムの起源

では、アマチュアリズムというこの奇妙な概念は、そもそもいつどこでどのような経緯で生まれたものなのでしょうか? じつのところ「金銭あるいはそれに準ずる対価を受けとることなしに、なんらかのスポーツに好んで従事する」ことをあえて選びとるというこのアマチュアリズムは、そもそも選民思想的な背景のもとに生まれた概念だともいえるのです。このことを知ればアマチュアもしくはアマチュアリズムという言葉のイメージがガラッと変わるのではないでしょうか? では具体的にこれがどういうことなのかみていきましょう。

アマチュアリズムは、19世紀末、近代オリンピックの創始者ピエール・ド・クーベルタンによってはじめて言葉として明確に定義されたものだといわれています。けれども実質的にこの概念は19世紀中頃のイングランドで生まれたものだといえます。

19世紀に入るとサッカーラグビーなど現在も広く親しまれているスポーツ競技がつぎつぎに発明&整備されるようになりました。19世紀になってイングランドでスポーツがつぎつぎに誕生した理由はいくつか挙げることができますが(当時のイングランドの教育界や宗教界において運動を通じた人格形成論が台頭してきたことが、その一番の理由ではないかといわれています)、いずれにしてもそういったスポーツ競技にはパブリックスクールの学生や一部の富裕層のみが参加していました。当時労働者階級には経済的にも時間的にもスポーツをする余力がなく、結果的に学生や富裕層がその担い手となっていました。そしてこうしたスポーツが誕生した当初は、アマチュアという言葉自体、積極的に使われることはほとんどありませんでした。というのも当時スポーツはプレーするためのものであって、それにお金を払って観戦したりスポンサーとなって選手に報酬を払うという習慣がなかったからです。したがってスポーツをする人=アマチュアであり、それをわざわざアマチュアと呼ぶ必要がありませんから、当然といえば当然ですね。

ところが19世紀中頃になると事態に変化が見られるようになりました。それは労働者階級のスポーツ界への進出によって引き起こされました。イギリス経済の成熟とそれにともなう労働法の整備により、労働者に経済的にも時間的にも余裕が生まれました。結果、労働者も休日にこぞってスポーツをたしなむようになったのです。そしてそして・・・。ここにいたって、それまで必然的に「アマチュア」のみによってプレーされていたスポーツ界にある意味で前代未聞のできごとが起こったわけです。それというのはスポーツ界におけるプロ選手の誕生となります。

football2.jpgスポーツ界にプロ選手が生まれた要因ですが、これにはまず市場規模の拡大が挙げられるでしょう。つまり、「スポーツ人口」が増えるにしたがって競技者がたがいに切磋琢磨し、技術レヴェルが向上する。それに応じるように技術水準の高い競技ならお金を払ってでも観戦してみたいと思うひとがでてきてもおかしくないところです。そこへさして、当時の労働者にとっては、労働条件が改善されたとはいっても、賃金がそれほど高いわけでもないし、好きなスポーツをしようにも時間が限られている。けれども自分のプレー水準が高く、自分のプレーにたいして報酬が支払われるなら、いっそのことそれを職業にしようと思うひとがでてきてもおかしくないでしょう。こういった流れで当時のイングランド国民の大多数を占めた労働者階級がスポーツを行うようになると、まもなく未成熟な形態ながらもプロ選手があらわれてくるようになったのです。実際、たとえばサッカーを例に挙げれば、サッカーという競技がいまのような形で誕生したのは1863年のことですが、1880年頃には強豪のプロサッカーチームがイングランドのあちこちで活動していたといわれています。

そして、アマチュアもしくはアマチュアリズムという言葉が積極的につかわれるようになったのはちょうどこのころのことです。というよりはこの段階でようやくプロにたいするアマチュアという言葉が意味をもちはじめたといっていいでしょうね。

ただただ・・・。ここでもう一度アマチュアの定義をもちだしてみますが:「金銭あるいはそれに準ずる対価を受けとることなしに、なんらかのスポーツに好んで従事する」 そしてプロスポーツ選手がいるからこそ、その対概念として金銭的報酬を得ることなくプレーをする人たちのことをそう呼称したといえるのだろうか? この問いかけはそのとおりです。けれども、労働者階級から多くのプロ選手が誕生したのはたしかなのですが、では労働者階級のアマチュア選手たちが、自分たちはアマチュアであると自覚していたのか? もしくは、彼らがアマチュアリズムをもっていたといえるのか? つまり、「あえて」「金銭あるいはそれに準ずる対価を受けとることなしに、なんらかのスポーツに好んで従事」しようとしていたのか? 答えは微妙です。正確なデータがあるわけではないので実情はわからないのですが、ただおそらくは「あえて」アマチュアリズムを実践しようとしていたわけではないと思います。おそらくは、それが仕事にできるのならば当時のアマチュア選手のほとんども、プロ選手になりたかったのではないでしょうか?

では、アマチュアリズムはどこからどのように発生したのか? この問いかけにたいする答えですが、さきに挙げた貴族階級やブルジョワ階級などの富裕層からとなります。彼らはスポーツを職業とすることを断固として拒否しました。さらには、当時イングランドのあちこちで誕生していたプロ組織と接触することもあえて避けていました。

その理由ですが、彼らはスポーツの精神が金によって穢されてしまうのを嫌ったということもあります。けれどもそれとはべつに、ある意図が介在していました。それは当時すでにスポーツ界の中心を担っていた労働者階級を排除するためです。実際、当時この富裕層を中心に結成された、「金銭あるいはそれに準ずる対価を受けとることなしに、なんらかのスポーツに好んで従事する」ことを大儀とするアマチュアクラブは多数存在していたのですが、その多くは同時に肉体労働者などの入会を拒んでいたといわれているのです。

(以下続く)

superlight

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2006年11月13日

「アマチュアリズム」ってそもそも必要なの?(1)

amateur.jpgさてさて、きょうのエントリーはスポーツ界における「アマチュアリズム」をテーマとさせていただきます。アマチュアリズムはあたかも「崇高な思想」であるかのように賞賛されることがありますが、ぼくは個人的にはかなり胡散臭い思想ではないかと思っています。では、それはどうしてなのか? 以下にそのことを述べてみましょう。


*アマチュアリズムって?

まずはスポーツにおけるアマチュアとはそもそもどういうものなのか? その定義ですが:

「金銭あるいはそれに準ずる対価を受けとることなしに、なんらかのスポーツに好んで従事するひとや団体」

くらいでしょうか。そもそも「アマチュアAmateur」とは語源的に「〜愛するひと」ということを意味し、そしてスポーツ界におけるアマチュアとは、「プロフェッショナル(あるスポーツを職業としておこなうひと。通称プロ)」と対比されつつ、なんらかのスポーツを愛しそして対価を受けとることなしにプレーするひとのことを指すことになります。

では「アマチュアリズム amateurism」となるとどうでしょうか? もともと「イズム ism」とは「主義、主張、流儀」などの意をあらわす接尾辞で、つまりうえにあげたアマチュアの定義を自らの態度、方針として選びとることを指しているといってさしつかえないでしょう。

ところで、このアマチュアリズム。どことなく胡散臭い響きがあるように感じられないでしょうか・・・? 

というか、自分を例にだして申し訳ないのですが、ぼくは毎週日曜日になると草野球をやっています。もちろん、用具代などで自腹を切ることがあるばかりで、自分のプレーのおかげで金銭をえたことなど一度もありません。そのため、「金銭あるいはそれに準ずる対価を受けとることなしに、なんらかのスポーツに好んで従事するひとや団体」という定義にのっとると、たしかにぼくはアマチュア選手です。

ただただ。では、そんなぼくがアマチュアリズムをもっているかというとそんなことはありません。むしろ、実際のところはぼくとおなじように、アマチュアリズムをもたずに野球なりなんなりプレーしているアマチュア選手のほうがおおいのではないかと思います。

それはというのも、アマチュアリズムというのをもう一度定義してみますが、これは「金銭あるいはそれに準ずる対価を受けとることなしに、なんらかのスポーツに好んで従事する」ここまではアマチュアの定義ですが、ではこれを多数のアマチュア選手たちが「自らの態度、方針としてあえて選びとっているか?」、といわれれば全然そんなことはないように思われるからです。

つまり「あえて」そうなったのではなく、「自然」とそうなっているだけというのがほんとうのところでしょう。ただ漠然とあるスポーツが好きだから、自腹を切ってでもプレーする。でも、もし自分の技能が高くそれをみせることによって報酬=仕事を得られるのならば、ぼくもふくめてほとんどの選手は「アマチュア」を辞めて「プロ」になりたがるでしょう。その意味で、逆説的なことにアマチュア選手の大多数は、アマチュアリズムなるものをもっていないといえるのです。

そしてこうしてみるとアマチュアリズムがある意味で奇妙な概念に思えてこないでしょうか? 

つまり本来主義主張ってものは、自然状態では実現できないものにたいして、人間が意志の力によって勝ちとったり維持したりするものです。ところが現実を見渡すとまず現在巷でスポーツをプレーしているひとのほとんどはアマチュアです。ある意味アマチュアリズムが実現した状態といえるでしょう。ただ、いま実現しているものも将来失ってしまうかもしれません。そのため、現状を維持することが肝要となりますが、幸か不幸か、これからだれがどんな努力をせずとも、まずこの傾向は続くことでしょう。自分もふくめてですが、こういっては申し訳ないものの、ほとんどのアマチュアの選手たちのプレーをみてお金を払おうというひとはまずいないだろうといえるからです。つまり、アマチュアリズムとは努力をしなくとも実現&維持できることにたいして、あえて主義主張をしていることになっているのですね。

(以下次週に続く。次回は「アマチュアリズムの起源」について述べていきたいと思います)

superlight
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2006年11月06日

週間情報

takahara.jpg海外日本人選手
5日のブンデスリーガ第10節、フランクフルト(独)に所属する日本人FW高原直泰選手が対ボルシア・メンヘングラッドバッハ戦で決勝ゴールを決めてくれました(今季2点目)。開幕から引き分け続きで、なかなか波に乗れなかったチームに貴重な一勝をプレゼントするかっこうとなりました。このゴールをきっかけにレギュラーの座をつかんで、どんどんゴールを重ねていってほしいものです。目指せ、日本人FW初の二桁得点!

また、中村選手(セルチック)と松井選手(ル・マン)はともに持ち味を十分発揮したアシストを記録しています。中村選手は得意のCKから、松井選手は得意のドリブル突破で敵陣深く進入し、そこからゴール前に絶妙のクロスボールを送りアシストを記録。もうこの両者の活躍は週末の「日常事」となった感がありますね。ちなみに中村選手には最近風格が漂いはじめてきたような気がするのですが、どうでしょうか。円熟味が増してきたのか、プレー全体にいい意味での余裕があり、そこから虎視眈々と相手ゴールに迫っていく。リーグトップクラスのチームに所属することによって「勝ち癖」が身につき、「サッカーのツボ」をしっかりつかめるようになってきてるのではないかと思います。

ところで、今週末は以上のように日本人選手の活躍がおおくみられましたが、彼らがオシムジャパンでどのようなプレーをしてくれるのかいまから楽しみですね。今年いっぱいは海外組の代表招集の見込みはないものの、現在協会はスタッフを派遣して彼らの動向を個別に調査している模様です。オシム監督は個々の選手の印象については口を閉ざすことがおおいので、彼らをどのように評価していてそして今後起用していくのかは現段階ではまったく予想がつきませんが、はやくみてみたいものですね。

また、最後に気になる情報が。スイスのバーゼルで活躍する中田浩二選手にJリーグ復帰の噂がささやかれています。先日の試合で鼻を骨折し連続試合出場記録がとぎれた中田選手ですが、元所属チームの鹿島アントラーズが獲得を目指している模様。守備にほころびのみられる鹿島が、ディフェンスのユーティリティープレーヤーである中田選手の再獲得を目指しているようです。


海外リーグ
今節の各国リーグは首位のチームが勝星を取りこぼし、順位が入れ替わるなどちょっとした波乱含みとなっています。

lyon.jpgフランス リーグ・アン第12節
リヨン  0−1 レンヌ 
ナンシー 2−1 ボルドー
ル・マン 3−2 オセール
(リヨンは勝点31で首位。2位ナンシーは勝点22。ル・マンは勝点17で10位)

イングランド プレミアシップ第11節
マンチェスターU 3−0 ポーツマス 
チェルシー    1−2 トッテナム
(マンチェスターUが勝点28で首位。2位チェルシーは勝点25)

スペイン リーガ・エスパニョーラ第9節
セビージャ 2−0 オサスナ
バルセロナ 1−1 デポルティヴォ・ラコルーニャ
(セビージャは勝点21で首位。2位バルセロナの勝点は20)

*イタリア セリエA第10節
インテル 2−0 アスコリ
パレルモ 2−0 サンプドリア
(インテルとパレルモはともに勝点24で首位。3位ローマの勝点は20)

*ドイツ ブンデスリーガ第10節
ブレーメン    1−1 コットブス
シュツットガルト 4−2 アーヘン
フランクフルト  1−0 メンへングラッドバッハ
(ブレーメンは勝点20で首位。2位シュツットガルトの勝点は18。フランクフルトは勝点13で10位)

*スコットランド プレミアリーグ第13節
セルチック 2−1 ハーツ
(セルチックは勝点34で首位。2位ハーツは勝点21)


ところでところで。今季リーグ戦初黒星を喫したリヨンですが、先日11月1日のチャンピオンズリーグ・グループリーグの第4戦ではディナモ・キエフ(ウクライナ)に勝利し、見事グループリーグ突破を確定させました。同組の強豪R・マドリード戦もふくめてこれまでの4試合すべてに勝利し、得点9失点0の堂々たる成績。現在国内リーグ5連覇中、チャンピオンズリーグでも3年連続ベスト8と、着々とヨーロッパサッカーシーンで確固たる地歩を占めつつありますが、その勢いはとどまるところをしりませんね。また、機会をあらためて当エントリーでリヨンの特集をおこなってみたいと思います。



posted by superlight at 20:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 週間情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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